【こなます・ごんぐり/宮崎県】船上の知恵と魚への敬意が生んだ日向の味!

“おうち”のふるさとごはん
『こなます』と『ごんぐり』-01

宮崎県日向市。太陽の光を豊富に浴びる日向灘に面し、東九州の貿易拠点である細島港を擁する細島地区。

『こなます』と『ごんぐり』-02

そんな港町を訪れたからには、やっぱり魚が食べたくなるもの。そこで足を運んだのが漁協直営の施設「海の駅ほそしま」。

ひと目で元気になりそうな柑橘類のオレンジ色が店頭を彩り、店内には地元の野菜や魚、そしてこれらを原材料に使った加工品が並ぶ。じっくりと商品を見る前にまずは併設の食堂で腹ごしらえといきたい。

紺色の暖簾をくぐると、木に囲まれた店内にはたくさんのテーブル席。一方、自分的な特等席は漁船を見ながらごはんが楽しめるカウンター席。

腰をおろしてメニューを見ると、見つけたのが『ごんぐり』と『こなます』の文字。

ところ変われば姿が変わるマグロの内蔵料理「ごんぐり」

まぐろの胃袋をかき揚げにした伝承料理・ごんぐり。

細島の漁師が県南部の日南から持って帰ってきたことがルーツというこの料理。もともと、ごんぐりとは日南ではマグロの胃袋のことを指す呼称。下茹でして臭みを抜き柔らかくしたものを、甘めの醤油×酒×砂糖で甘辛く煮込んだものや、香味野菜と一緒に炒めたものがスタンダードなのに対して、細島ではではかき揚げに独自発展した。

どちらも漁業が盛んで、新鮮なマグロの胃袋が入手できる環境を有するが、場所が変われば料理も変わる。そんなことを教えてくれる。

冷めたごはんがごちそうに!船上の知恵で生まれた「こなます」

そして、もう一品がこなます。ごはんとカツオの刺身で作った塩なますを混ぜ合わせて船を動かす熾火で蒸し焼きにして作る、カツオ漁が盛んな細島だからこその料理だ。

漁に出る際に持っていったごはんが冷めてしまい、それをおいしく食べるために編み出された知恵の料理。刻んだカツオとごはんを『こねまわす』ことから転じて生まれたという料理名からは確かに男性的な香りがする。

そんな料理を両方食べるときには、こなます定食にごんぐりの単品を組み合わせて注文するのがおすすめ。

カツオが力強い「こなます」の味と、クセのなさに驚きの「ごんぐり」

こなますを口に運んだ瞬間に溢れ出してきた圧倒的なカツオの香り!香ばしくカリッと焼かれた表面の食感から、中のグシュッとした独特の食感への変化の幅が大きく、静かに湧いてくる風味の力強さに驚くしかない。

ご飯に対して想像以上にしっかり入ったかつおのボリューム感が、魚に囲まれた船上がルーツであることを教えてくれる。

調味の料理というよりは、魚の味をおいしくいただくための優しめの塩味。味噌や醤油の焼きおにぎりのように、調味料の濃さが強く出るのではなく、混ぜご飯だからこそのマイルドな味。確かにこれは体も心も温まる。

一方のごんぐり。醤油ベースの下味がついたマグロの胃袋とたまねぎの甘みで、タレなしでも美味しく、何より臭みやクセが全くない事に驚きだ。

カラッと揚がっていることもあって、けっこうな大きななのに重さを感じず軽快な食感に、こちらも箸が止まらない。薄切りの身の弾力は言ってみれば命の鼓動。それを知恵と工夫でいただく味に感服する。

もちろん、地魚の海鮮丼も鮮度抜群。種類豊富な魚がずらりと並び、目と舌を喜ばせるのと同時に、だからこそこうした伝承料理がおいしいんだと再確認。

実は、細島にはマグロやカツオを白和えにした伝承料理もあるとのこと。魚に恵まれた環境だからこその食文化は、今日も燦々と降り注がれる日差しを浴びながら受け継がれている。

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