【梅干し・杏干し/青森県】紫蘇の葉に包まれた、梅と杏の爽やかな酸味

全国の料理遺産

梅干し・杏干し

津軽の梅干しは、この地方で一番多く栽培されている豊後梅を使って作られ、果実から種を取り除き一つ一つの果肉に赤紫蘇の葉を巻いたものを、丁寧に漬け込んでいます。

また、梅と一緒にザラメや黒砂糖、あるいは蜂蜜といったものを漬け込むことで、一般的な塩味がぎゅっと詰まった梅干しではなく、甘さと塩分とが入り交ざった、非常に複雑な味わいの梅干しとなっているのも特長です。

漬け込むもの次第で一軒一軒のお店や家によって味に違いがある津軽の梅干し。それは、夏に漬け込み「わが家の味」で冬に備えるための、貴重な保存食でもあるのです。

材料

・梅…10kg
・塩(梅の10%の分量)…1kg
・ザラメ糖…1kg
・焼酎(20度)…1リットル
・梅酢…400cc
・5倍酢…100cc
・しその葉…5束(500枚)
・クエン酸…少々

つくりかた

1.しその葉は、収穫したときに適量の塩でもみ、絞って樽に入れて重ねていく。
2.クエン酸を少量ふりかけ軽い重石をかって水が上がる程度に焼酎を加える。
3.しその葉を収穫したらどんどん重ねて積み込み、十分な量を確保しておく。
4.梅は、水洗いして、ザルで水切りし、梅の10%の塩で漬け、水が上がりにくいので、焼酎500ccと梅酢・5倍酢を上から加える。
5.2週間したら塩漬けの梅の種をとり、おり板に並べ晴天下で3日間干す。夜は、ビニールで覆う。
6.乾いた梅を水洗いし、絞って、塩漬けのしその葉で包む。
7.樽に並べて1段毎にザラメをまぶし、梅とザラメを交互に重ねていき、一番上に漬け込んだしその葉を厚めにのせる。
8.最後に焼酎を上からかけて、30kgの重石をのせ、水が上がってこなかったら焼酎を加える。これを2ヶ月以上漬け込んだら、食べ頃となる。
※梅はちょっと黄色くなりかかった青梅を使うと、身から種を取り除きやすい。

ポイント

 ~「うめ」の代わりに「あんず」を干したものを、「梅干し」と呼ぶ理由~

実は、津軽を初めとして青森では、梅の代わりに杏も干して、シソの葉で巻き込んで漬けています。梅干しと同じように種を取り除き土用干しをしたものを、シソの葉で巻き込んで漬けており、梅の梅干しに比べてより甘さが強い一品となっています。

ところで、この杏を干した料理。便宜的に津軽料理遺産では「杏干し」と呼んでいますが、こちらでは「梅干し」と呼ばれています。

なぜかというと、元々、杏と梅が植物の属性として同じ「バラ科サクラ属」でもあることや、杏と梅は交雑することから、品種を区別することなく「あんず」を「うめ」と呼び、梅干しと同じように杏干しが作られたため、「あんず=うめ」→「梅干し=杏を干したもの」と、定着しているためなんです。

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